『カティンの森』を観た



(※公式ホームページ
「僕たちが消えても、軍服のボタンが残る」

帰らぬ父を、夫を、息子を、待ちわびる母や妻、娘の姿が情を誘う。
実父がこの事件の犠牲者でもあるアンジェイ・ワイダ監督が、使命感を持って取り組んだ作品だと聞いた。
半ば今の時代を生きる一個人として、義務的に、こういった映画を私は観ることにしているが、歴史というのは、バカみたいだ。あんな風に尊い命を無下に扱って築かれた歴史の上で、つかの間の享楽を味わって、やれ幸せだなどと、そんなもんあり得ん。 

ドイツ軍とソ連軍が鉢合わせた第二次大戦下のポーランドで、ソ連軍の捕虜になったポーランド人、将校も含む兵士や官職、神父も含めて二万二千超にも及ぶ人々が、「何者か」によって虐殺された「カティンの森事件」。
真犯人はドイツ軍だったのか、ソ連軍だったのか、という事の真相が映画の中で錯綜している。
実際、犯人はソ連軍なのだが、ソ連はドイツ軍の残虐行為と宣伝して、真実は長い間闇の中に葬られたとか。

問題の虐殺シーンは、どのようにして撮影されたのか、本当に人殺しているんじゃないか、と思うほどリアルな虐殺の光景で、R−15指定作品であるのも頷ける。

今の日本は孤独死が日常的になりつつあり、尊い命に対して不誠実であるという自覚も、表層的で、何気に希薄な気がするのだが、カティンのような同様の事件が日本でもし起こっても、誰が、何が真実を伝え、知ろうとするだろう。
うやむやのまま、真実が踏みにじられ、破廉恥な連中がそれでも、やれ幸せだラッキーだなどとほざき続けるのだとすると、ホントに、損得と駆け引きだけをよすがに生きるなら、どう考えてもここに日本人として生まれてきたことは、私にとっては圧倒的に損だったのだろう。

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