マンダ教の創世記

前からゾロアスター教に興味があった。できれば、ニーチェに汚されずに、ゾロアスター教を概観したい。それで、名著『ツァラトゥストラ』はまだ読んでいない。読むとすれば、ニーチェを外してひととおり楽しんで納得した後にしようと思っている。今生では読むことはないかもしれない。

しかしゾロアスター教のことを知るのに、どんな本を手掛かりにすればいいか。検索すると、青木健という、私と同世代の学者の名前がよく出てきたので、その人の書いた本を読もうと、いちばん価格の手頃な新書で売られている『古代オリエントの宗教』を紐解くことにした。
面倒臭そうな、ややこしそうな内容だから、寝物語にもってこいだろう。

この間、視覚障害者の同行援護で一泊の仕事があり、この一泊のホテルが腐り果てており、無料で視聴できるテレビ番組がNHKのみという、その日寝つけなかったら困ると思い、この本を持ち込んだのである。が、逆に眠れなくなりそうになった。
宗教を、こんなに面白おかしく語れる学者がいるものだ。宗教学者の島田正巳より、ある意味上かもしれん。マンダ教という「何それ?」な宗教が出てくるのだが、これをまるでガンダムを語るように語る。

マンダ教はキリスト登場以前に、旧約聖書に意義を唱えたパレスチナのユダヤ人が、そのコミュニティーにい辛くなって、居場所をイラン高原に移して、今も細々と生き残っている宗教とのこと。
マンダ教における天地創造は、エジプト神話から借用した「職人の神」プタヒルによるものらしく、

あるとき、「光の世界」の最下位にいるプタヒルが、自らを造物主だと錯覚し、…

この世界を創ってしまったそうである。

ただ、プタヒルは悪なる物質から最初の人間アダムを創造したものの、どうしてもこれを起動させることができない。そこで、動力源として「光の世界」に由来する、「内なるアダム=霊魂(アガカス)」を入れてみたところ、アダムは悪なる物質と光の霊魂の二重性を帯びた存在として一気に目覚めた。…
…こんなものを創ったプタヒルは「光の世界」の最高存在である「偉大なる生命」から咎められ、帰還できなくなってしまう。
…彼(プタヒル)は辛うじて、「光の世界」の一員ではあるものの、最高神でも唯一神でもなく、ただ自ら思い上がってそう勘違いし、うっかり世界を創造してしまった下位の存在に過ぎない。…

私も天地創造の真実はそうじゃないかと思っていた。
いい話だ。

そうして、朝の6時前に利用者と朝食に向かうべく、低血圧の私も5時過ぎに起きなければならなかった。
携帯の目覚ましをセットして、無理矢理目を覚まして、再び二度寝してしまわないように、テレビのスイッチを入れると、「後藤さん殺害」のニュースであった。延々と、そのニュースしかなかった。何が真実かわかるはずのないものを、必死で流しまくるテレビであった。

コメント