『悪童日記』を観た



昨日、3週間限定で渋谷で『SHOAH ショア』を上映するというニュースを見た。
二十年以上前、レンタルビデオ屋に『SHOAH ショア』が全巻、ズラッと並べられているのを見て、「きつ!」と思ったのを覚えている。
本編は9時間27分という超長丁場。じっと座って観ていられる人は、どのくらいいるのだろう。私はしんど過ぎて観たことはないし、「ショアやります!」という情報だけでおなかいっぱいである。
おなかいっぱいになってしまったので、『悪童日記』を観にいく予定にしていた昨日は、そういうテンションも無くなって、今日、先ほど観てきたところ。

双子の兄弟の、観ていて辛い映画なのかな、と思いつつ観ると、逆に、過酷な境遇の中で、非情で聡明で逞しくなっていく双子の「僕ら」から、勇気を貰える映画であった。周りの人たちがボコボコ死んでいく中で、鉄仮面のような双子らが、涼しげに生き延びていく。

戦争がはじまり、憎々しい肉の塊のような「魔女」と呼ばれる母方の祖母の元に疎開させられた「僕ら」は、「魔女」の暴力と罵詈雑言でヘタれてしまうのではなく、逆に精神を鍛え、非情な力を身につけて、「魔女」を凌駕し、劇中、しまいにはこの「魔女」が「ふつうのおばあちゃん」に見えてきてしまうという、やはり、弱さを克服して力関係のバランスをとるということは、相手との関係を構築する上で、大事なことなのだな、とあらためて気づかされた。

そしてこの「魔女」のオバン役の役者、いい。ハンガリーの大女優らしい。ホントにクソババアを見事に好演している。しかしクソババアなんだけれど、凄い働き者のクソババアなのである。
あのクソババアの暮らしていたような佇まいの暮らしに、今の私はとても憧れているので、やはり、自然の中で自給自足を営もうと思うと、あのクソババアのようでなくてはならないと、私は自分の心に銘記した。

『悪童日記』の原作の方はまだ読んでいない。ストーリーや書評やらで濃過ぎる情報に触れはするが、なかなか実際に読む気力が沸かない。
原作を知ると、もっと深みのある理解の仕方になると思うが、私程度にアサハカでも、きちんと見どころのある映画である。衣装や小道具類も、一見贅沢品ではないようで、「これはいいものだな」と思うものが散見された。

もう一点、双子の「僕ら」の日記の記し方が勉強になる。
真っ白なノートに、あんな風に自由にコラージュしたり絵を描いたりすることを、私は長いこと忘れ去ってしまっていた。
「誰が見てもわかるようにキレイにノートまとめ」をすることを学校で強制されて育ったせいか、今はもう「自由なノート」を作ることができなくなっている、不自由な自分に気づかされた。
今からでも「僕ら」の日記を見倣いたい。

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