中坊公平(故人)がマイブーム



今更だけれど、中坊公平(故人)という弁護士がにわかにマイブーム。森永ヒ素ミルクの弁護団長とかをやった人だが、過去の人だから古本屋で一冊80円とかで古書が放り出されてあってだ。本の前書きには、

これらの事件の一つ一つが私の墓碑銘、そしてあの世へ携えていく数珠の珠だと思っています。

ということで、今はちょうど盆の頃、墓参りのような気分で読み終えたのである。
この本では、中坊氏が担当した事件を時代順に振り返りながら、事件とともに中坊氏が成長してきた様子がおもに書かれている。そして、いくつかは陳腐になり得ない教訓を含んでいる。



しかし後年の、この中坊氏の失脚の前後こそ、正義と道理における時代の潮目だったのかもしれない、と思う。中坊氏のような人間臭さや、「国民主権は人類普遍の原理」とするような考え方まで、ムードとして揺らいでいる昨今である。

私がこの本を開いたのは、たまたま「戦後70年の談話」が出るだの出ただのと賑やかしい、終戦記念日の前日のことだった。

責任を認めないところに本当の交渉あるいは補償などあり得ないことは、わかりきっていることなのです。世間を欺くためにだけこのような形をとって、真実はなんの真心からなる救済も行わないで本日に至っておるのです。

とは、この本に全文収録されている、1973年森永ヒ素ミルク事件の第一回口頭弁論の冒頭陳述の部分である。

これに比べて、昨日アッベが読み上げた、霞ヶ関文学の傑作と誉れ高い「戦後70年の談話」の作文からは、何ら溢れ出て揺さぶるようなものがなかった。
さもあらん、ここまでで何をか成したわけではない殺戮兵器売人一味が必死こいて美辞麗句で飾って、頭悪かろうという印象をこちらが抱くのも、仕方がない。

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