くさくさと

歯の被せものがグラついてきた。近所のいつもの歯医者が休診だったので、家から次に近い歯医者に行った。初診だ。清潔でキレイめで先端技術っぽくて、若い女性の歯科衛生士などが数名いて、子どもも安心してかかれそうな雰囲気。

だが、ファストフードでいえば、客が単品で注文しているのに、店側の判断で勝手にセットでの注文にして、客を「同意」に流し込んでしまうような調子だったので、週明けにいつもの歯医者に行くことにした。
結局、若い歯科衛生士に、問診表を俯瞰する力が足りなかったことと、治療方針を決めるにあたっての対話力の未熟さが、私の不信感を煽ったのだと思う。こっちは自分がレイプされそうになるのを未然に防いでやった気分。
…受付のビラに「インフォームドコンセント」うんたらって、書いといてよかったね、ってカンジ。

その歯医者に行く前日、私はくさくさとしており、気晴らしに映画を観に行ったが、映画はあっという間に終わった。



『セッション』は、日常から離れてひととき、カラッポになるには、とてもいい作品だった。凄い緊張感で観客をわし掴みにして、ラストまで持っていって、パッと放すカンジ。まぁこの映画、「闘魂」というか、もろ「ケンカ」やね。

何が凄いって、音楽が当然カッコいい。フレッチャー教授のキチガイっぷりもさることながら、それを凌駕せんと向かっていく、主役の学生ニーマンくんが、これまでの映画には無かったキャラで、意外と闘い方を知っていて、感心する。張りつめていたものが緩んだ瞬間につけ入られるようにして、ニーマンくんは苛められるのだが、いやはや、増長、慢心は油断をともなうので、怖ろしい。
私も若かりし日、自立を志し、何ものかになろうとして格闘した日々を思い出させる映画でもあった。

そしてもうひとつ思い出したのは、浄瑠璃の三味線の太夫が、氷水をはった桶に手を入れて、指の感覚を無くして稽古を続けた( )話。ジャズも「侘び寂び」の世界なんだなあ、と。

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