さまよいの果て波は寄せる心情



ダンナの身体の腫れが少しひいたので『ヤクザと憲法』を観てきた。「漁師とヤクザって、近いもんがあるな」と、今しがた漁場を体感してきたダンナの素直な感想である。
DQNばかり、でもスラムじゃない。それが漁師街。漁師は資源の枯渇で、ヤクザは暴対法で、どちらも日本から消えていこうとしている。

地獄から帰ってきたダンナは、夜な夜なうなされていた。訊くと、毎晩漁の夢を見るのだそうな。漁に片思いをして失恋したようなカンジだそうだ。

漁の現場は地獄と天国の端境にあって、肉体に襲いかかる過酷さと裏腹に、本当に、夢のような輝きに満ちた世界なのだとか。網に掛かったかわいらしいタコも、まるで竜宮城の宝物のように輝いていたそうだ。

皮肉にも、私がこのところカラオケで歌っていた『さまよいの果て波は寄せる』は、まるごと、漁師になり損なった今のダンナの心情そのものである。
Youtubeでさがしても、この曲のオリジナルは出てこないので、仕方がないから自分で歌ってきた。



自給自足が可能な次なる移住先として、高知県は室戸岬のあたりを考えていたが、なかなか態勢が整わない。漁に出て稼いで、一気に引越してしまおうとダンナは企み、あわよくば、そこでも漁師の手伝いなどをして生業することも考えていたらしいが、漁業に就業することは、なまじ想像をはるかに上回るハードルの高さであった。
また振り出しに戻った。そして、また途方に暮れるのだった。

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