前略、地獄の針山より

私自身の無力に打ちのめされて、何をか成そうとする思いを手放すところ。

若い頃に降り注いだ霊感は、今はもう無く、それなのに外された梯子を見上げて、まだ昇れそうな気がしている。

深すぎる悩みは、言葉にしたところで受け皿が無く、ばらばらになって、中空を舞って、またひとかたまりにまとまろうとする。

この界隈の誰かと話をすることは、独り言を呟くことと大差が無い。

対話の体裁で発した言葉に対する応答が得られず、それが度重なって、「あヽ目の前にいるこの人たちとは永遠に出会えない」という現実に気づく。

混ざり合うことの無い、永遠に出会えないこの人たちと、白々しくつき合い続けることこそが、この社会において「信用」や「信頼」に値する成人の姿である。

話が通じている実感の無いまま、どうでもいい相槌を打ち、誤解まみれの実態のままに、あらゆることを放置する。

だって、この人たちと同じ情報を共有できる条件も、取っ掛かりも、何一つ揃わない。

言葉を発した後の虚しさと徒労は、嘘に依るものだ。それでも、ニコニコと人付き合いを続けなければならない。

「人間」が致死量に達してきた。ここは地獄だ、針山だ、針のムシロだ。

虚飾を好むこの国に生まれ出て、ヘドを吐き、傷だらけになりながら生きて、私は死ぬとき、さぞ安らかだろうと思う。

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